みんな、それぞれに理由があるようです
   ∩___∩
   | ノ\     ヽ
  /  −゛  − |   うーん。困ったクマ。
  | ∪  ( _●_) ミ  一体、日本は何時になったら
 彡、   |∪|   |   憲法草案を作ってくれるクマ。
/     ∩ノ ⊃  ヽ  これ以上の遅れは、
(  \ / _ノ |  |  マズイことになるクマー
.\ “  /__|  |
  \ /___ /マッカーサー総司令


 このとき彼が心配していたのは、極東委員会の動向だった。1946年2月に開催される事となってこの委員会はGHQに代わり、占領政策の最高意思決定機関となる事がすでに決定されていた。


   ∩___∩
   | ノ\     ヽ
  /  −゛  − |   近衛案が不可能になったいま、可能性があるのは松本案クマ。
  | ∪  ( _●_) ミ   あれが形にならない事には本当にまずいクマッ!
 彡、   |∪|   |    なにせ極東委員会は……
/     ∩ノ ⊃  ヽ
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


               「共産党に金送るか」
                    ∧,,∧     ∧,,∧
            ∧ ∧    (    )    ( ・ω・)「いや、天皇は必要だろ」
 「なんか旨い    (ω・ )     (  U)     ( つ日ノ   ∧,,∧
  利権ないかな」| U       u-u       u-u     ( uω)「天皇戦犯だオッオッ」
            u-u                    (∩∩)

               ∧,,∧      ∩ ∧_∧
   「日本ってどこよ」  (・ω・')    ⊂⌒( ・ω・)「あー。天皇裁きてぇ」
              ⊂∪∪⊃      `ヽ_∩∩


   ∩___∩
   | ノ\     ヽ
  /  −゛  − |   こんな状態クマー
  | ∪  ( _●_) ミ  極東委員会の中で、ソ連、中華民国、オーストラリアは、
 彡、   |∪|   |   天皇を戦犯にする気がまんまんクマー
/     ∩ノ ⊃  ヽ  今のところ天皇を残す事を考えているのは、我が米国と英国
(  \ / _ノ |  |  ぐらいクマー
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


 このとき米国と英国は、象徴としての天皇を残しその権威を利用する事でことで日本占領を平和裏に進める事を考えていた。


      /                 \
     /                 `ヽ 丶
    /        .:ノ            ',  ヽ  日本国民は、敗戦によって精神的な拠所である
   / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l 天皇を唯一の財産として、これまで以上に必要
   l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  ! としているわ。
   |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  | ならば天皇を象徴として残し、その権威を
   ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  | 利用することは、連合国にとってまちがいなく
      ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  | 利益をもたらすわ……
       \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八 バカ犬!
        リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ  分ったらさっさと本国に報告しなさいッ
      _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \
   , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、
  〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ
 l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }
 {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
 〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/
 {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ 駐日英国外交官


         {     }く  /          ∨ヘ       |
        |:    ,′>='-=ニ二フム、_     ∨ヘ    j
        l:     レ:.:'´:.:.:./__:.:.:.:._:."/:ハ    ∨ヘ   /
      ,ヘ  |    L_,z-<::::: `ヽ:.:.:.':.:j〃ヽ    ∨ヘ  /
      {:.:.ヽj    {`ヾ::ヽ_}:::::::::::}:.:.:.:.:./  `、   VハV
      ヽ:.:./     〉 j::::::::::::::::::/:.:.:.:二>  }   }N〈
       l:.ハ    >'´:::::::::::::_ノ:.:.:`ヾ、ヽー-、/ヽ   {Nハ
       |:{:`r=='"::::::::::::><´_:.-=< ̄`   ヽハ  ∨ ヽ
       l:∨:::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:; -‐'´    、  ∨  \_人____ /
       i:.:.:`ー=一' .:.:.:.:.:.:.:.__>  {     lヽ ∧__ノ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;:
       ヽ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ._`:ト、i}    V ′.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;
    ー== ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ} ヽ    /.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;  わかりましたー
      `ヽ_ :.:.:ノ:.:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'^\ '⌒ヽ'′.;.;.;.;.;.;.;.;.;  でもその前に、足をのけてください
          ̄{:.:.:.:l:.:.:\:.:\:.ヽ、:.:.:.:.:.フ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.  いや、のけなくて良いかも……
           ヽ:.∧:.:.:.:.:\::.:>ー'´ ̄.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;


   ∩___∩
   | ノ\     ヽ   ま、まあ、少なくとも英国とは日本統治の基本路線では
  /  −゛  ● |   協調が可能クマー
  | ∪  ( _●_) ミ  とにかく、今は極東委員会開催までに日本が天皇を残しつつ
 彡、   |∪|   |   民主的な憲法を自主的に制定したという状況を作り出すしかないクマッ
/     ∩ノ ⊃  ヽ
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


 安定した占領政策による日本統治の成功、それはマッカーサーにとって、彼がワシントンに立つためにも必要なステップだった。
 こうした、世界各国の思惑の中ではGHQの権力も絶対ではなかったことは、日本の憲法作成にも微妙な影響を与えていた。


      / ̄\
      |    |
      \_/
        |
     /  ̄  ̄ \     なんだ、それなら無理にGHQの要求を飲まなくても
   /  ::\:::/::  \    国体を護持したまま民主的思想を取り入れれば楽勝じゃないか。
  /  .<●>::::::<●>  \   GHQもこれだけ期限が迫ってたら、無茶も言えないだろ。
  |    (__人__)     |  
  \    ` ⌒´    /
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ 松本烝治


 しかし、白洲次郎はそのような意見に対して批判的だった。


          ____
       / ノ  \\            松本さん、GHQの奴らは本気だおッ
      / (●)  (●)\          中途半端な草案なんて出したら、
    / ∪  (__人__)  \         何をしてくるか分らないお。
    |      ` ⌒´    |         少なくとも天皇大権は、これまでと
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)  同じというわけにはいかないおッ
    ノ  | / / /   (⌒) / / / /
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  :::::::::::/
 |    l  |     ノ  /  )  /
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /
  ヽ __     /   /   /  白洲次郎


     , (⌒      ⌒)
   (⌒  (      )  ⌒)
  (             )  )
    (_ヽ_ハ从人_ノ_ノ
          | || | |
       ノ L,l ,|| |、l、
       ⌒:::\:::::/::\
      / <●>::::<●>\    だからお前はいかんのだっ
     /    (__人__)    \  こういう時は、何が何でも動くべきじゃない。
     |       |::::::|     |   とにかく相手との交渉を拒否して、時間を引き延ばし
     \       l;;;;;;l    /l!|  向こうが諦めるのを待つんだッ
     /     `ー'    \ |i
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |
    `ー、_ノ       煤@l、E ノ >
               レY^V^ヽ


      ____
     /⌒三 ⌒\
   /( ○)三(○)\  な、何を言ってるんだおッ
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ 戦前、それでさんざん痛い目にあったのを忘れたのかおッ
  |     |r┬-|      |
  \      `ー'´    /


           ___
       /      \
      /ノ  \   u. \
    / (●)  (●)    \ よ、吉田のじいさんも何とか言ってくれおッ
    |   (__人__)    u.   |
     \ u.` ⌒´      /
    ノ           \
  /´               ヽ


    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \
  |    ( ●)(●)
.  |     (__人__)  そうは言うがな……
   |     ` ⌒´ノ  恐れ多くも、国体に関わる大事なことだ。
.   |         }  この臣吉田ごときが、ハイハイと変えれるわけがない
.   ヽ        }  だろう。
    ヽ     ノ
    /    く
    |     \
     |    |ヽ、二⌒) 吉田茂


      ____
     /      \
   / ─    ─ \    だ、ダメだお。
  /   (○)  (○)  \   みんな、敗戦なんて体験した事がないから、事の深刻さが
  |      (__人__)    |   理解できてないんだお……
  \     ` ⌒´     /


 そして話題の中心となっている人物も、終戦の動乱の中で静かに動いていた。


     ,. . ´: ̄ ,二丶、
   _/: : : : : :ノィ: : : : :ヽ
 ,.イ/: : : : : : :'ー┴< : : ハ  さてはて困ったものよ……
 `7/ : /:!|ハ: :|: |:ヽ、 : : : : !  よもや、明治大帝の御代からの国土を
  |:l l l_l_レ{ ヽト士十!: : : : |  失ってしまうとは。
  从トト{≧=  == |: | : :|  ああ、先々帝にはなんと詫びてよいやら……
    |八  _ __ ..イ:j : : :|   わっちはこれから、どうしたらよいのかのぅ。
    |:|: :`.了ー':.:.:.ソ/: : :|!|
     从: ト: |:{:.:.:|:./イ{: : /リ
      ヽ,rLjー!_{ーヘく/___
     く´:::`’::::`’::::::::`フ: : `ヽ
      `ー‐ ¨¨`ー<__Zィー′昭和天皇


      , '" ̄ ゙̄ヽ   陛下ッ
.    /   ∧∧ ヘ丶
   イ / V┳  ┳ト ゝ
    ヘ(ヽ{   r‐ュ jV
    ^ヘ≧t'ゥ'<
     /:::::::}}:::::i:ヽ


     ,. . ´: ̄ ,二丶、
   _/: : : : : :ノィ: : : : :ヽ
 ,.イ/: : : : : : :'ー┴< : : ハ  そもそも、この状態では敵も味方も分らぬ。
 `7/ : /:!|ハ: :|: |:ヽ、 : : : : !  下手に動けば、わっちの身もどうなる事やら……
  |:l l l_l_レ{ ヽト士十!: : : : |  吉田とやらもわっちの為に動いてくれていると言うが
  从トト{≧=  == |: | : :|  どれほど信じれる事やら。
    |八  _ __ ..イ:j : : :|   ああ、わっちは世界一孤独な身でありんす。よよよよよ……
    |:|: :`.了ー':.:.:.ソ/: : :|!|
     从: ト: |:{:.:.:|:./イ{: : /リ
      ヽ,rLjー!_{ーヘく/___
     く´:::`’::::`’::::::::`フ: : `ヽ
      `ー‐ ¨¨`ー<__Zィー′


          / /   >ヽヽ ヘt
            i i  i iレ`iヽ    !     陛下。
          レ W巡!厶 _jΔ   」__    下手な演技はおやめ下さい。
          {レ' ‐-  -- ヽ∧ >'⌒ヽ  それよりも、お話がございます。
           ヾ    |  / ∨::::::::::::::`::..、
            }\ ‐‐ イ   \:::::::::::::::::::\
         _ r 个 弋. イ 卜ー--‐ヽ::::::::::::::::::::::\
     _....:::::´├―ト、 `∨' ├ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   /::::::::::::: ├─ l ``才´├.弋 :::::::::::::::::::::: /


                   イレ'^!
                x<   ;  /
            _ ,/: : : 〉/;:ハ/ ̄ `丶、 ___
           /, :´ : : : /;:;:;;;':/: : : : : : : : ヽ : : : : :く二ニZ
.       /: : : : : : /'"´:  ̄: : : : : : : : : : : :\;;-‐;;:'"/
.      /: : : : : : / : : : :/:/: : : : : : : : : : : : : : :マ;;'/
.       ,′: : : : :/: : : : : /:: : l: /: : : : : : : :ヽ: : :丶: :〈  なんじゃ。
.     : : : : : : :/: : : : : /::: :{ |│: :/: : │: : |:: l:: :|:: : :',  木下も、わっちが気を紛らわせるのに
     i: : : : : :/ : : : /:/:l::::八! |: : {:: : : j:: : :|:: |:: :|:: l: :|  少しは付き合ってくれとも良かろう?
.    l: : : : .:,':: : : : l: |l::|::::|:::j/|: :,'!:: : /l:: ::,':: j: : |:: j: :|  まったくからかい甲斐のないやつよのぅ
    j: : : : .:l :: : : : l: |レ∨|:‐ト|: ハ:::.:!│:/_;.イ:: /::/: ,′
    ,' : : /.::,'!::: : : : l: L二._Y_V`ヽヽ{ 匕W レイ::/} /
{ ̄ ∨: : /.::/::|::: : : : l: |l代ぅ:歹 ̄`  弋歹^ア/:イ/
l:::::::├<.::/:::,'|::: : : : l: |   ¨¨^      `¨ ,':: : |
l:::::::∧::::::::`ヽ:|::: : : : l: |         〉   :::: : :|
'::::::::::::}::::::::::::: `l: : : : l: ト、           イ::: : : :!
:::::::::::,' ::::::::::::::: |: : : : l: | 丶、 ´ ̄` . 个:!::: : : :|
::::::: /::::::::::::::::::::|: : : : l: |   /ヽ、_, ィ升=、| :l:::: : :│
ヽ/::::::::::::::::::::∧: : : :l: |  ハ/   ∨ヽ }:l::::.: : :|


  / /  / /      iヽ   :.   } j |:. ..  |:.   !::.   ::  l:::::::::::::ト、ヽ
    ,   ' / .     「´',  ::i.. //  ト、::.:::.. !i::. l:::::.  :|::::.. l::::::::::、{ `
    i∧ !/  i  :::!|  、 :::l〃. :::...l__;:::i、:. H::: |:::::::. :ト、:::::.|::::::/  そんな事よりも陛下。
    !  V  : ::| :. .::!l l   ヽ /厶::::ト、:|__V_∨ l:::l::::i::::..::l、_ヽ:::|:::;′ 実は神父のフロジャックが、
    |   ', .:. :::l ::.::ト、!_   ハ::「'´ァE芯:リア  |∧ハ:::::!、 }:\:i  先日、私の家に参りまして。
        }:∧:.::::}ハ:if卞心.   ヽ   ゞ-'        ';::|ノ /:::::: !
       |'  ',::::ト、:|` `ー'}     `          }i /::::::、|
          、:! };ハ  /                  iイ::::::::::::| `
          ヽ  . '                 j V:{:::::::!
               ヽ \              /  i:;ハ:ト:ト
                 \  -― ''"´       / /  | ル' :|__
                 ヽ  ー '     /   /  /: : {::.::`丶、
                   v ,.小. 、  /    /,. '´. : : >^:ー-::_:`丶、
                     ∨川liい>'   . '"´   . : :/::.: : : : : :`ヽ、::.\
                     ,ィ`7卞´  /\    . :/::.: : : : : : : : : : : :ヽ
                _,. ァ'"´/_ ! } / _,. -   . /:―-: :._: : : : : : : : : :  木下侍従次長


             /ヽ
             / ,ィ ヽ            , -、
            rv' / |  !        /   |
            V^ヽ レ ¬て二ト、/  ,イ |
        r‐、  _  / ,-‐ ,ニ ‐- 、   / ! L_    ヒーホー!
       r-ゝ y' / //   f _j /ヽ ヽ ヽ  レイ/    食糧不足と病気で国民は困ってるホー。
        > { 〈イ!  r‐‐v- 、_ー'   ! |     ̄   そこでボクは、診療所と牧場を作ろうと
      `ー 、  ヽヘ  ヽ、   _ > | /         思うんだホー
           \_ >、     ̄   ,ィ ヽ         ぜひ、ボクのカトリック村建設のための
            厶ィ ¬ `ー─----く ゝノ         土地を都合して貰いたいんだホー
           O /  |/| ∧  ト、\
              {   O  L/ ヽ_| !~「O
           \   O   Oイ  `¬
              ヽ ┬┬ 7´ ヽJ`ー′
           , - 、 こ二} こニア
           {    ヽ _」 L_jフ⌒ヽ
           ̄ ̄ ̄    `ー‐┘  ヨゼフ・フロジャック


  / /  / /      iヽ   :.   } j |:. ..  |:.   !::.   ::  l:::::::::::::ト、ヽ
    ,   ' / .     「´',  ::i.. //  ト、::.:::.. !i::. l:::::.  :|::::.. l::::::::::、{ `
    i∧ !/  i  :::!|  、 :::l〃. :::...l__;:::i、:. H::: |:::::::. :ト、:::::.|::::::/  
    !  V  : ::| :. .::!l l   ヽ /厶::::ト、:|__V_∨ l:::l::::i::::..::l、_ヽ:::|:::;′ などと申しまして。
    |   ', .:. :::l ::.::ト、!_   ハ::「'´ァE芯:リア  |∧ハ:::::!、 }:\:i   いかがなさいますか?
        }:∧:.::::}ハ:if卞心.   ヽ   ゞ-'        ';::|ノ /:::::: !
       |'  ',::::ト、:|` `ー'}     `          }i /::::::、|
          、:! };ハ  /                  iイ::::::::::::| `
          ヽ  . '                 j V:{:::::::!
               ヽ \              /  i:;ハ:ト:ト
                 \  -― ''"´       / /  | ル' :|__
                 ヽ  ー '     /   /  /: : {::.::`丶、
                   v ,.小. 、  /    /,. '´. : : >^:ー-::_:`丶、
                     ∨川liい>'   . '"´   . : :/::.: : : : : :`ヽ、::.\
                     ,ィ`7卞´  /\    . :/::.: : : : : : : : : : : :ヽ
                _,. ァ'"´/_ ! } / _,. -   . /:―-: :._: : : : : : : : : : 


                   イレ'^!
                x<   ;  /
            _ ,/: : : 〉/;:ハ/ ̄ `丶、 ___
           /, :´ : : : /;:;:;;;':/: : : : : : : : ヽ : : : : :く二ニZ
.       /: : : : : : /'"´:  ̄: : : : : : : : : : : :\;;-‐;;:'"/
.      /: : : : : : / : : : :/:/: : : : : : : : : : : : : : :マ;;'/
.       ,′: : : : :/: : : : : /:: : l: /: : : : : : : :ヽ: : :丶: :〈 
.     : : : : : : :/: : : : : /::: :{ |│: :/: : │: : |:: l:: :|:: : :',  ふん。
     i: : : : : :/ : : : /:/:l::::八! |: : {:: : : j:: : :|:: |:: :|:: l: :|  確かに、臣民の役には立つが……
.    l: : : : .:,':: : : : l: |l::|::::|:::j/|: :,'!:: : /l:: ::,':: j: : |:: j: :|  それだけではのぅ。
    j: : : : .:l :: : : : l: |レ∨|:‐ト|: ハ:::.:!│:/_;.イ:: /::/: ,′ 今やわっちには、そのような事を命令する
    ,' : : /.::,'!::: : : : l: L二._Y_V`ヽヽ{ 匕W レイ::/} /   力があるかどうか……
{ ̄ ∨: : /.::/::|::: : : : l: |l代ぅ:歹 ̄`  弋歹^ア/:イ/
l:::::::├<.::/:::,'|::: : : : l: |   ¨¨^      `¨ ,':: : |
l:::::::∧::::::::`ヽ:|::: : : : l: |         〉   :::: : :|
'::::::::::::}::::::::::::: `l: : : : l: ト、           イ::: : : :!
:::::::::::,' ::::::::::::::: |: : : : l: | 丶、 ´ ̄` . 个:!::: : : :|
::::::: /::::::::::::::::::::|: : : : l: |   /ヽ、_, ィ升=、| :l:::: : :│
ヽ/::::::::::::::::::::∧: : : :l: |  ハ/   ∨ヽ }:l::::.: : :|


          / /   >ヽヽ ヘt
            i i  i iレ`iヽ    !     やれやれ。
          レ W巡!厶 _jΔ   」__    では、断ると言う事で
          {レ' ‐-  -- ヽ∧ >'⌒ヽ  よろしいですね。
           ヾ    |  / ∨::::::::::::::`::..、
            }\ ‐‐ イ   \:::::::::::::::::::\
         _ r 个 弋. イ 卜ー--‐ヽ::::::::::::::::::::::\
     _....:::::´├―ト、 `∨' ├ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   /::::::::::::: ├─ l ``才´├.弋 :::::::::::::::::::::: /


                            ,.ヘ-v
                           _x<_,、(
                _   -:―一:'´ : : /:ド7
      } ̄^Z=:ー―-‐'´: : : : : : : : : : : : -<  ;:!│
      '. え=-、: : : : : : : -‐: : : : : : : : : : : : \;.i: |
.       マ ;.  ;>'´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:ト、    まてまて。ぬしはせっかちでならん。
          ∨';/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : : :V:ヽ   確かヤツは福祉活動家として、
        ∨ / : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : '.   その名を広く知られておったのぅ。
           ハ/: : : : : : ,': : : : : : : : : : : : : :ヽ : : l : : : :'; |   しかも、カトリックの神父か……
.          | l.: : : : : : :l: : : : :/ : : : j: : : : : :}: : :.|: : : : :l l
        | l:/|: : : : : |: { / :{: : {: :ハ: }: :j小 l: |: : : : :|│  決めたぞ、木下。
         l.:|:l |: : : : : |: l {_从: :ハ:{ j仏斗≦k |: : : : :|:!  万難を排し、彼の者の願いを
.         |: l ! | : : : : :Vレぅテ≧ー    ´込zソイi: : : : :|: :|  叶えるのだ。
        l: :レ: | : : : : :.|ヘ 込zソ       ::::.::: リ : : : :.|:八  わっちの御料地を使わせる事も
.        l: : : :│ : : : : |、 :::::::.:   :j     /: : : : : 厂了ヽ 許すッ
       |: : : : :|.: : : : :.:|丶   ヽ- ‐   ,.': : : : : :∧/:::ハ
        | : : : : l : : : : : 〈::::介:、_   ´  //: : : : :/::::}:::::::::::::|
.       |: : : : :∧ : : : : : Y「/∧> -</: : : : :/::::: ::::::::::::: |
.         |: : : : :.:い : : : : : :Y| L、   _ /: : : : /::::::/:::::::::::!:::|


          / /   >ヽヽ ヘt
            i i  i iレ`iヽ    !     分りました。
          レ W巡!厶 _jΔ   」__    何とか政府を説得してみましょう。
          {レ' ‐-  -- ヽ∧ >'⌒ヽ
           ヾ    |  / ∨::::::::::::::`::..、
            }\ ‐‐ イ   \:::::::::::::::::::\
         _ r 个 弋. イ 卜ー--‐ヽ::::::::::::::::::::::\
     _....:::::´├―ト、 `∨' ├ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   /::::::::::::: ├─ l ``才´├.弋 :::::::::::::::::::::: /


 こうして、様々な国が、人がそれぞれの思惑の中で行動するなか、日本に残された時間は刻々と失われていくのだった。


 つづく